― 君 色 星 ―
「香織」
俺は振り返って、その女の名前を呼んだ。
香織は俺にニッコリ笑いかけて、こちらに近付いてきた。
「どないしたん?カズくん3年生なんやから、共通科目の棟に用事があったらあかんやろ。まさか単位取り損ねとん?」
香織の顔が夕日に照らされて、オレンジに染まる。
そのせいか、普段より香織が女らしく見える気がする。
「そのまさか……のわけ、ないだろ。これも俺の勉強の一環」
「へぇ…。勉強熱心やな〜。うちなんて、早よ帰りとーて仕方なかったのに」