dim.
暇つぶしに登録したサイト。目的は人それぞれ。危険なこともある…。
でも、私の寂しい心を癒してくれるのはたった一時の甘い囁き…だった。

 
 直人と出会ったのは、蒸し暑い6月の夜。私は一人の時間を殺すように携帯を触っていた。
そんなとき、届いた一通のメール。

「暇なら、電話でもする?」

私は、しばらくその電話番号を見つめて考える。

 いきなり電話番号を教えるなんて…男の人は不安じゃないの?なんて思いながら、なんとなくその番号にかけてみようかという衝動にかられた。非通知にしちゃえば、わかんないしね。

 ほんの少しの時間でも、一人ぼっちから逃げられるなら。私は通話ボタンを押す。


「もしもし?」
「あ…さっき、メールもらって。番号書いてあったから…。」
「あぁ。暇だから電話してきた?」
「そんな感じかな。っていうかはじめまして?」
「はじめまして?とか質問かよ。」
 笑いながら話す電話の向こうの人に、ちょっとだけ好感度があがる。

 まだ見ぬ相手を知るために、いろんな話をする。私の知らない社会人という世界に暮らす人。一人暮らしで、彼女とうまくいってないみたい。
 私は…初めての恋から立ち直れないまま、どこかでその恋の相手(と似ている人)を探し求めてフラフラしてる高校生。もちろん、一人暮らし。

 彼女のことを溜息まじりに話すその人に、ほんの少し興味を持っている私がいた。

 社会人同士の大人の恋ってどんな感じなんだろう?って。心の奥に鈍い痛みを感じながら。
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