dim.
なんとなく波長があったせいか、いくら話しても話し足りないような気分になる。電話の向こうの人も、私を一生懸命笑わせようとしていろんなことを話してくれた。
 ひとしきり話したあと、ふと時計を見るともう日付が変わっている。

「ねぇ、もう日曜日になっちゃってる。」
「あ、ホントだ。お子ちゃまは寝る時間だな。」
「お子ちゃまって…もう18なんだからね!」
「俺から見たら、まだまだお子ちゃまだ。」
「もういいし…。」
「あはは、そんなことですねるなよ。そういうところがお子」
「もういいってば。」

 半分本気で怒りながら、電話を切ろうとした。

「まぁ、今度暇ならドライブでも行ってみるか?」
「ん?うんうん。いつも暇にしてるから、いつでも誘ってよ♪」
「ちょっ…お前誰にでもそんなこと言ってるのか?」
「まさか。そんなに軽い人じゃないし。」
「あぁ、体重な?」
「はぃ?」

 いつか会う日が来たら、一発お見舞いしたいと思いつつ…。

「俺もいつも暇だ。明日もな。」
「一緒じゃん! じゃあ今からドライブ行こうか?」

 まだ会ってもいないのに軽口を叩けるのは、電話の人の人当たりの良さのおかげかもしれない。

「今からって、お前高校生だろ!?家の人に叱られる…って一人暮らしか。」
「そうだよ~。叱ってくれる人がいません♪」
「じゃあ俺が代わりに…」
「断る!!!」
「ま、今日だけお子ちゃまのわがままに付き合ってやるよ。出かける準備しろ。」
「は~い♪」
「ったく…。」

 口では嫌そうにしつつも、待ち合わせ場所を詳しく聞いてくる電話の人に笑いがこみあげてきた。
< 3 / 16 >

この作品をシェア

pagetop