dim.
「ごめん、遅くなった。車止められるとこ探してた。」

私はおそるおそる顔をあげた。


 背の高い、大人な人が私に話しかけていた。その瞬間、ホッとしたようなドキドキするような変な気分になる。

 
「お、遅いよ~~。もう来ないんだろうなって帰ろうとしてたよ。」

無理して強がる私。全然かわいくない…。わかってるのに、強がることで今まで歩いてきたから、いまさら変われない。

「悪かったな。一人でこんなとこ立たせて。」

ちょっとだけキュンとする。

「ううん…。」

「変質者って思われただろうな。」

「はっ?」

 

 キュンってしたの…取り消すよ。ばかっ!


「意味わかんないし。」

「俺も、お子ちゃまの子守りにこんな時間にかりだされて意味わかんねぇな。」

「ちょっと!!」

 むかっとして顔を見上げると、からかって楽しんでますって顔で笑ってた。あぁ、電話の時もこんな顔してたんだろうなって容易に想像できちゃうよ。
 
「さてと、車のとこ行くぞ。」

 そう言ってむくれたままの私の頭をぽんっと叩いた。

「うん。」

 私たちは微妙な距離をあけたまま、並んで歩き始めた。
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