桜咲け!
「はぁ・・・はぁ・・・」
アタシは息を切らせながら4限目終了後即効で教室から走ってココに来た。
この教室は今は使われていない『元:資料室』。
この教室の窓を開けると目の前には満開直前の桜。
理科室や教室から見える桜もキレイだけど・・・。
ココのは絶品!
ココはアタシの特等席なんだ!
アタシは教室の取っ手に手を掛け開けた。
ギィィィ・・・
戸を引くといつもならすぐに正面にある窓が見える。はずなのに・・・。
今日は戸を引いてすぐに見えたのは・・・窓をバックにした男の人だった。
「・・・だ・・・れ??」
思わず声に出てしまったので急いで口を押さえた。
やはり聞こえていたのだろう・・・。その人はこちらへ振り返った。
「・・・遠山・・・?」
その人はアタシの名前を呼んだ。
しかも・・・誰かと思うと同じクラスで人気の“無口で冷血悪魔”クンの五十嵐クンがいた。
「五十嵐クン!?」
「あぁ・・・」
五十嵐クンは苦笑いに近い微笑をアタシに見せた。
きゅん・・・
なんだか胸が締め付けられてるみたい・・・。ドキドキする・・・。
多分。アタシ五十嵐クンに恋したんだな・・・。
怖いって聞いてたから・・・あんまり話したことなかったけど・・・。
アタシは窓が開いてるのが分かり五十嵐クンに話しかけた。
「・・・ねぇ・・・?五十嵐クンも・・・桜見てたの・・・?」
アタシの問いかけに少し驚いていた五十嵐クンも
「まあな?・・・遠山も?」
といわれ真っ赤な顔であろうアタシは
「・・・うん。・・・スキなんだ・・・桜。」
って言った。
「そっか・・・。」
って言いながら五十嵐クンはアタシの頭を少し撫でながら
「飯・・・?なら俺邪魔だろ・・・?」
って聞いたからアタシは
「ううん・・・。大丈夫・・・いらないから」
って言った。そしたら五十嵐クンはアタシのお弁当袋を取って
「じゃ・・・いただき。・・・じゃあな。」
と言い不適な笑みを見せ教室から出て行った。