恋のMELODY
■大波乱
・強奪
その日は眠れなかった。
縁側に座っていた私を一晩中桜羅は隣で見守ってくれていた。
長い夜も、もうじきあける。
今日は…
祝言…。
最初からダメだったんです。
私は今は亡き一国の姫。
瑠真様は侍。
身分の違う私達はどう足掻いても結ばれはしないのです。
「柚姫様」
襖の向こうから女中の声がした。
同じ部屋に寝泊りしている郁の姿は何処にも無い。
心細い…。
桜羅は慌てて柚の懐に入り込んだ。
こんな早い時間に…
まだ4時前後であろう。
「どうかしたの?」
「失礼いたします」
襖を開け1人の女中が入ってきた。
「みない顔…ね」
「さすがは柚様。お気づきでしたか」
「どういうこと?」
「私はここの者ではございません」
「…え?」
「私は貴方様をお助けに参りました」