保健室ノ秘メゴト
こうなってしまっては、今更何を言ったところでもう手遅れだけど。
こんなことを考えたところで、過ぎた時間は戻らない。
言った言葉は呑み込めない。
私は彼をここから追い出してしまった。
彼はもう二度と――。
「センセー、眠ィから休ませて」
「?!」
ガラリと無遠慮に扉を開く音と、聞こえてきた声、そしてその言葉。
私は息を呑んだ。
だけどガラスに映る背後には紛れもなく、
「先生?ベッド空いてる?」
相良くん、が。
今は体育の時間のはずなのに昨日とまるで同じズルズルと着崩れた制服を着て、昨日とまるで同じ台詞を言いながら、昨日と同じように、立っていた。