正夢、誤夢
…ああ、もう朝か。
(起きなきゃ…)
朝ご飯は専ら母が作る。トントンというリズムの良い音。
うちの朝は和食派。大方、味噌汁に使う具でも切ってるんだろう。
『おはよー』
『おはよ。すごい熟睡して気持ち良さそうだったけど、なんか良い夢でも見た?』
ニヤニヤする母。
『あいにく、あたしは最近夢見てないから。それに夢見ないから熟睡できたんだよ。』
チッ
と舌打ちする母親。
オイオイ、子供に舌打ちかよ。
佐奈は思わず苦笑い。
今日は金曜日。今日を乗りきれば2日の休みだ。頑張ろっと。
『由紀ちゃんに、ユメナールのこと聞いてみてね』
『由紀ならきっと、聞く前に話してくると思うよ。』
『そしたらマミーに報告よろしく。』
と、ウインクする母。
この人は本当に私の母親なのか?
朝から母親のテンションについていけない佐奈。部屋に戻って制服に着替える。
『んじゃ行ってきまーす。』
『いってらっしゃい。良い報告を待っているぞ!』
…一から十まで、本当に元気な母ちゃんだ。