正夢、誤夢

忍び寄る

約束通り、次の日の土曜の昼頃、由紀はニコニコしながら成瀬家にやって来た。もちろんその腕の中には例の物。

ピンポーン

『こんにちはー、由紀でーす。』

ガチャッ

扉から顔を出す佐奈。
『いらっしゃい、ちょうど昼ごはんも出来たとこだよ』


『あらぁ、由紀ちゃんいらっしゃい。あっ!それ!!』

『美佐子さん、お久しぶりです。もちろん持って来ましたよ!』

『お母さん、昼寝のために徹夜したんだよ。まったく…』

『でも、そんくらいの価値あるよ!これ!!これ使い出してから絶対見たい夢見れるもん!!』

由紀がそう熱弁すると、母も目を輝かせ、

『すごいわー!由紀ちゃん、ちょっと昼寝したいから貸してもらえるかしら?』

『もちろんです!その為にもってきたんですから!!』

『ありがとー!まったくうちの子もこんくらい素直でかわいかったら良かったものの…』

『悪かったなコノヤロー』

『ねー佐奈ちゃん!あたしお腹減ってもうペコペコ~!オムライスオムライス!』

『はいはい。持ってくるからそこら辺座っといて。』

『じゃあお母さん寝てくるから、由紀ちゃんはゆっくりしてってね。おやすみ~』

手をヒラヒラさせて寝室へ向かう母。




(そういえば、お母さんはどんな夢を見たいんだろう…)

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