正夢、誤夢
その言葉にバッと顔をあげる由紀。

『ひ、引かないでね…?何があっても、引かないで!』

―そんな潤んだ目で言われちゃ、引くわけにもいかないよ。

『大丈夫。ってか、こっちがお邪魔する立場なんだから。部屋に上がらせてもらうだけでもありがたいよ。』

ニッコリ笑ってそう答えると、表情の明るくなる由紀。

『へへっ、ありがと!』






そして、由紀の自室の前まで来た。なにやら由紀は、緊張してるご様子で。

『で、では!行きます!心の準備はよろしいか!?』

(あたしは全然大丈夫なんだけど…)
と、思わず笑ってしまう。

『準備万端ですよー。いつでもどうぞ。』




ジャジャーン!!という由紀の掛け声とともに、扉が開かれた。

『…わーぉ。』

そこには漫画、DVD、さらにはフィギュアなどでうめつくされた、由紀の可愛らしい風貌とはかけはなれた部屋があった。

思わず発した言葉は…
『…由紀って、お兄さんとかいたっけ?』

『うん、お兄と弟がいるよ』

『お兄さんの部屋と間違えてない?』

『うんにゃ、間違えてない』

『じゃあ弟とか』

『弟はまだ幼稚園です。』

『まじか…。』

沈黙。


『…やっぱ引いた…?』


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