春あめ時
…
「よーな!!」
木漏れ日のさす
あたたかな
春
桜が舞い落ちては新入生を歓迎するあたたかな歓迎からひと月
屈託のない人なつっこい笑顔と年のわりには高く響く少年の声に
呼び止められた
少女は 戸惑いがちに眉をひそめた
「ひなだってば。もう五回目だよ」
前方から迫る、そう。
例えるなら
甘いケーキと対峙したような子供 あるいは子犬のような、
「だって俺がようた、だろ?よーなのほうが呼びやすいんだよ!」