ニートを引きずり出せ!!

〜須藤家・玄関前〜

いかにも田舎ですよと主張するように家と家との間には結構な面積を持つ畑が家を挟むように陣を取っている。

依頼人の須藤家も同様に畑に挟まれるうにぽつりと建っていた。

須藤家の脇にある小さなｽﾍﾟｰｽに武田は愛用のﾐﾆｸｰﾊﾟｰを停めた。

武田と富澤はﾐﾆｸｰﾊﾟｰから降りたのだが、山田はまだ写真集を無我夢中で見ていた。

そんな山田を見ていた富澤は後部座席のドアを開けて

｢いつまで写真集を見ているんだよ害虫」

と罵声を浴びせながら山田を引きずり出した。

｢愛美タン、愛情表現が激しいよ」

と山田は何故かﾊﾆｶﾐながら富澤を見つめた。

富澤が殺意ﾓｰﾄﾞに入る前に武田は止めに入った。

｢依頼人を待たせたらいけないから、茶番はこのぐらいにしておこうではないか」

富澤は渋々納得して山田の襟から手を離した。

武田が玄関の呼び鈴を押すと家の中からﾊﾞﾀﾊﾞﾀと足音が玄関に向かって来て、玄関のドアが開き依頼人の須藤が顔を出した。

｢ああ、探偵さん待ってました。家の中にどうぞ」

依頼人の須藤が探偵さんと言ってくれた事が嬉しかったのか武田はニヤリと微笑んだ。

その時、富澤は武田のﾌｧｯｼｮﾝを見ても動揺しない須藤に驚いていた。

山田は依頼人がおばさんと知って軽く舌打ちした。