初雪の日の愛しい人[短編]
「あ、ねえ遊ばない?」

 何度か声をかけられたけど、無視してぶらぶら歩き回る。
 誘いにはのらない。

 だって、みんなあいつより格好悪いんだもの。

 どうせ遊ぶならあいつより格好いい人がいい。

「あーちょっと、待って」

 今話しかけてきた男は、少ししつこい。
 無視して歩く。

「待てって!」

「なによ!」

 思わず叫んでいた。
 イライラさせないでほしい。

 男は少し驚いた様子で、目を丸くしていた。

「…なんかあったの?」

 どうして見ず知らずの男になにかあったかを話さなきゃならないんだ。

「馬鹿じゃないの」

 あたしは出来るだけの冷たさでそう言い放って、歩き出した。
 男はついてこなかった。

 …なんだ。

 少し拍子抜けしつつ、あたしはなおも歩き続ける。

 そのとき、ぽんっと肩が叩かれた。
 さっきの男かと思って振り返ると、そこには綺麗な金髪をした、同い年くらいの背の高い女の子がたっていた。
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