初雪の日の愛しい人[短編]
…目が青い。外国人?

 いぶかしげに見ていると、女の子はにこっと笑った。

「アナタとワタシ、シャシンとる」

 絶妙なイントネーションで、彼女はそんなことを言う。
 手にはデジカメ。

「は?なんで?」

「アナタ、ビジンだから。日本ビジン」

 ――日本ビジンて、あんた。

 あたしは思わず噴きだしていた。

「あははっ、あたし、美人?」

「とても」

「じゃあ、いいよ。写真とろう」

 あたしはそう言って、彼女の隣にならんで顔を寄せる。

「チーズ」

 一瞬光ったフラッシュに目がくらむ。

「thank you!アリガト」

 彼女は満足そうに笑った。

「――ねえ、ひとりなの?」

 …単なる気まぐれだった。
 おもしろいと思ったから、ただそれだけだった。

 ――だけど、とてもじゃないけど…その夜は、あたしにとって忘れられない夜になったんだ。

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