初雪の日の愛しい人[短編]
近くに喫茶店に入って、あたしたちは向かいあっていた。

 オレンジ色の蛍光灯の下で、彼女の金髪はキラキラ光っている。…とても綺麗だ。

「なんか、たのしい」

 彼女はにこにこ笑いながら言う。
 
 …この舌足らずな口調、聞き覚えがある気がした。

 ――気のせい?かな。

 あたしは薄く笑って、ドリンクは何にするか聞いた。

「ココア!」

 彼女は一瞬の迷いもなく言う。

「――じゃあ、あたしもココアにしよう」

 二人してホットココアを注文して、しばらくマグカップを両手で包み込んで手を温めた。
 
 …なんだろう、すごく懐かしい感じがする。

「ウン、おいしい」

 先に一口飲んだ彼女が満足気に言う。
 一口飲んでみると、確かにここのココアは美味しかった。

「アナタ恋してるでしょう」

 しばらくココアの甘さに浸っていると、まるで予言するかのように、唐突に彼女は言った。
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