現実アクションゲーム
「え?いや、なんとなくだよ」


「なんとなく?」


「だって、来たことなんてねぇんだもん。勘を頼りに行くしかねぇだろ」


シドロモドロになって答える蓮。


まだ、CGだと言う真実を伝えたくはなかった。


だが、それはほんの数秒後、伝える必要がなかったことに気づいた。


蓮の心臓が、ドクンと音を立てる。


二葉の行動を、蓮は見逃さなかった。


……え?


何で二葉……瞬きしてるんだ?


自分でも、青ざめていくのがわかった。耳鳴りがする。吐き気もしてきた。


どういうことだ……


「蓮君?」


その蓮の様子に気づき、二葉が声を掛けてくる。


「いや、なんでもねぇ」


無理に笑って返した。


わけがわからない。二葉は人間なのか?


だとしたら、この上なく嬉しいことだ。だが、それと同時に疑問も浮かぶ。


なぜ、人間の二葉がここに送りこまれたのか。


拓馬がいたら、問い詰めたかった。だが、今は別の道に行っているから誰からも情報を得ることはできない。


歩いているだけなのに、呼吸が乱れてくる。こんな様子では、二葉に何か勘付かれてしまう。


なんとかしなければ……


「ごめん……何か、疲れた。ちょっと、休憩しねぇ?」


と、腰を下ろす蓮。こうすれば、今までの冒険で体力的に限界にきているのだと勘違いしてくれるかもしれない。


実際、歩いてられなかった。座っても、まだ震えている。
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