現実アクションゲーム
「そうだね」


二葉は返事をすると、蓮の横に座った。


こんな敵の本拠地のようなところでの休憩は、気が進まなかったはずだ。


それでもすんなりOKしてくれたのは、今にも倒れそうな蓮を気遣ってのことだろう。


蓮は再び二葉の瞳を見た。やはり、どう見ても瞬きしている。間違いない。二葉は、人間だ。


俺と二葉は、姿は同じでも別の生き物だ。


「大丈夫?」


座ってからしばらくすると、二葉が心配そうに聞いてきた。よっぽど青ざめているのだろう。


「あぁ、大丈夫。ちょっと……5分程、眠らせてくれ」


蓮はそう言うと、ゆっくりと目を閉じた。眠くなんかなかった。ただ、少しの間だけ何も考えたくなかった。


考えても、拓馬に聞かない限り何もわかるはずがない。いや、拓馬だって知らないのかもしれない。


……拓馬だって?


今、確かに蓮はそう思った。


そう言えば、拓馬はなぜこんなに詳しいんだ。


確か、現実RPGとかいうゲームの主人公だと言っていた。


おそらく、前にもこんなことがあったのだろうか。


だとしても、何かおかしくないか?


この城には、来たことがないみたいだった。


だが、それまでは違う。


水中のスクロールでは、ハズレに進んでも死なないことを知っていた。


普通なら、今までの冒険から、蓮と同じように考えるはずだ。


それに、その先にサメと出会うことも、サメを倒せば気球が手に入ることも知っていた。


だけど、城の中は全く知らない。


どういうことだ……


そこまでは、明らかに……完璧に知っていた。


……あれ?
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