現実アクションゲーム
もう一つ、おかしな点がある。


拓馬は蓮を水中に呼ぶとき、仲間を助けたい、助けてくれたら城に行く方法を教える。確かにそう言った。


だが実際は、仲間なんてもういなかった。


それに、水中をクリアしたら気球が手に入る、それに乗って城に行くしかない……そう言えば、あのときわざわざ剣を交えることもなかったのではないか。


……拓馬、何か隠している……


いや、考え過ぎかもしれない。拓馬は、自分の強さに絶対的な自信を持っていた。


出会ったばかりの奴に気球が手に入ると言われても、信じるかどうかわからない。


それなら、約束をつけて強引にサメを倒しにいく方が、確実かもしれない。


拓馬なりの、人を説得する策略だったとも考えられる。


……もう、何がなんだかわからねぇ……


気づけば、5分経っていた。


何も考えたくないから目を閉じたのに、落ち着けば色々な考えだけが頭の中を駆け巡る。


……もともと、俺は頭が悪い。クリアするしか、答えは出せねぇ。


確かに、拓馬に問い質せば返事は返ってくるだろう。


だが、それを真実かどうか確かめる術はない。


そんな、半信半疑の答えなんかいらない。


ほしいのは、本物の真実。それだけだ。


蓮は立ち上がると、二葉に手を差し伸べた。


「行こう」


二葉は蓮の手を取ると、強く頷いた。覚悟を決めた笑顔をしている。


その覚悟は、蓮とは少し違うものだろう。
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