現実アクションゲーム
二人は再び、歩き出した。


拓馬といるときよりも、恐怖は大きかった。


何でも知っていて桁外れに強い拓馬の存在は、やはり大きかった。


二葉のHPは、相変わらず11だった。これでは、モンスターに出遭ってしまったら、蓮はともかく二葉は一撃だろう。


二人でいるのに、この恐怖だ。二葉一人だと、どれほど恐怖していたのだろう。


二葉は今、ここにいる。つまり、どうにかして移動ブロックを渡ってきたのだ。


たった一人で、あのマグマに勝った。その勇気は、本当に凄い。


「ねぇ、蓮君」


突然、二葉が声を掛けてくる。


「何?」


歩く足は緩めず、蓮が聞き返す。


「拓馬君って、味方なの?」


「え?」


その言葉に、目が点になる。


味方と言えば味方だが、どうだろう。


お互い、利用し合ってる関係……そんなところか。


拓馬はクリア目的で蓮に近づいた。蓮は、そのかわり拓馬から色んなことを聞いている。


「まぁ、同じ目的を持った同志って感じかな」


あやふやな感じで答える蓮。


「なんか、拓馬君……会ったとき、すごい気配を感じた」


「すごい気配?」


「なんか、まるで人間じゃないような……」


そのとき、再びドキッとする蓮。


マズい。会話を反らさないと、何か感づかれてしまう。


「私や、蓮君と別の生き物みたいな……」


……え?拓馬だけ?


俺には、全く気づいていないのか?
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