現実アクションゲーム
「くそっ!」


震える声で叫ぶ蓮。


おそらく、壁伝いに歩くなんて言う時間は与えないつもりだ。


これは思ったよりマズい。


「行こう、蓮君。時間がない」


二葉はそう言うと、一足先に走り出した。


……そうだ。今は考えている暇はない。時間の無駄だ。とにかく、行くしかない。


蓮も二葉に続いた。本当に、二葉の勇気は頼りになる。


とりあえず、どっちに進めばいいかなんてわからない。二人は適当に走った。


しばらくした、そのときだった。


ガシャ、ガシャ……


なんだか、聞き覚えのある足音がする。


あいつだ。ガイコツの野郎がいる……


それも、この迷路のどこかに。


突然、足を止める二人。


奴とは、まともに戦ったことがない。


今まで二回ほど戦ったが、どちらも崖に突き落としただけだ。


強いかどうかはわからないが、スタート地点で人をゴミのように倒していた。


たとえ勝てたとしても、無傷ではすまないだろう。


そうなれば、HP11の二葉は殺されてしまう……。


出遭うわけにはいかない。二人は走るのをやめ、歩くことにした。バタバタと走って、足音に気づかれては困る。


できるだけ、ガイコツの足音がしない方向の道を選んで進んだ。


前方に、再びT字路が見えた、そのときだった。


ガシャ、ガシャ……
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