現実アクションゲーム
そのとき、残り時間が止まった。


「え……」


それに気づく蓮。


どういうことだ……


「こっちだ」


そのとき、スイッチの方から聞き覚えのある声がする。


その方向を振り向くと、そこには拓馬が立っていた。


スイッチが付いていた壁は開いている。


拓馬の頭上にも、『TIME0:01』の表示があった。


「どうなってんだよ……」


蓮が呟く。


「蓮、スイッチを押したのか?」


「あぁ……」


「俺の行った道にもスイッチがあった。お前が両方行けって言った理由……たぶん、両方の道のスイッチを制限時間内に押すこと。それが、このアクションのクリアの条件だったと思う」


「そうか」


蓮は適当にそう返事をすると、再び二葉に視線を戻した。


二葉が、死んだ。


「二葉……」


ギュッと抱きしめる蓮。


どんなに願っても、もう帰って来ない。


あのとき、俺がすぐにガイコツに切りかかれば……死んでいたのは、二葉ではなく俺だったはずだ。


そうすれば、二葉は助かった。


そうすれば……


「その女、死んだのか?」


拓馬が冷静に聞く。


コイツは、気を遣うことを知らないのか?


蓮は無言で二葉をおんぶすると、歩き出した。
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