現実アクションゲーム
「行くぞ、拓馬」


くよくよしていても仕方がない。


それに、これ以上悲しみを溜めると、気がおかしくなりそうだった。


「おい、蓮。死んだなら、その辺にでも捨てておけ」


その拓馬の言葉に、蓮はプチッときた。


「二葉をこんな場所に置いて行けるわけねぇだろうが、ボケ!」


「悪かった。だが、俺に当たられても困る」


「だったら、俺のやることに文句言うんじゃねぇよ!」


むしゃくしゃする。抑えられない。


「お前な、だいたい仲間じゃねぇだろ。なんでナレナレしく一緒にいるんだよ。もう水中ステージは終わっただろ!散れよ、バカヤロー」


「蓮……その女を、どうしても生き返らせたいか?」


「え?」


その言葉に、蓮は我に返った。


「お前……今、何て言った?」


「女を生き返らせたいかと聞いたんだ」


「そんなことできるわけ」


「無いとでも言いたいのか。ここは、ゲームの世界だぞ」


そうだった。有り得ないことではない。だいたい、体は無傷なのだ。HPさえ元に戻れば、生き返ることだって可能ではないのか……


「あるのか、方法が」


すがる様に聞く蓮。
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