現実アクションゲーム
「行くぞ」


拓馬はそう呟くと、歩き出した。蓮も二葉をおんぶしながら続く。


「さっきは……悪かった」


申し訳なさそうに謝る蓮。


「気にしていない」


まだそんなことを、と言った様子で、鼻で笑いながら拓馬が答えた。


「それより、蓮……さっきから信用できないとか、騙すとか、急にどうしたんだ?」


ドキッとする蓮。


疑っていたのを勘ぐられたようだ。


「その女に……何か吹き込まれたな」


「え?」


図星だ。確かに、二葉の言葉から疑い始めた。


だが、吹き込まれたわけではない。


「そうじゃねぇけど……お前には、謎が多すぎてな。ちょっと疑っちまった」


「謎……か。俺にとったら、その女の方が謎だらけだ」


その拓馬の言葉に、再び蓮の心臓が鳴る。


まさか……二葉の瞬きのこと、気づいているのか?


「どういう意味だよ?」


ドキドキしながら蓮が聞いた。


だが、拓馬からの返事はもっと違ったものだった。


「お前……吊り橋が落ちて、湖へ落ちてきたよな?」


「あぁ」


「そのとき、仲間がいるって言ってたが……その仲間って言うのが、その女のことか?」


「あぁ」


「そうか」


拓馬が何を言いたいのか、よくわからない。


「何が言いたいんだよ?遠まわしに聞きやがって」
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