現実アクションゲーム
「あのとき、吊り橋から這い上がって城に入ったにしては……全然進んでなかったな。移動ブロックのすぐ後で再会した。かなり時間が経っていたはずだが」


なんだ、そんなことか。


「それは当たり前だろ。一人だったんだぞ。城に入るのも、移動ブロックも躊躇したに決まってる」


「なるほど。では、どうやってあの移動ブロックをクリアしたんだろうな」


「それは……どうにかして……」


二葉のことだ。持ち前の勇気で、何か突破口を見つけたはずだ。


「どうにかして……か。なるほど」


「おい、いい加減にしろ。何が言いてぇんだよ。二葉が敵だとでも言いてぇのかよ!」


苛立って、つい声が大きくなる。


「ほう。謎が多い男は疑うが、謎が多い女なら信じると言うわけか」


「いい加減にしろ!」


「いい加減にするのは蓮、お前の方だ!なぜ女は疑わない!」


また拓馬が怒った。普段クールなだけに、怒鳴ると迫力がある。


それでも、臆することなく蓮は反論する。


「二葉は、スタート地点から一緒に頑張ってきた仲間だ!」


「だから何だ!ここで出会ったうちの一人だろう!俺とどう違う!1分でいいから、そっちの女の方を疑ってみろ!」


その拓馬の言葉のあと、少しの沈黙が包んだ。


「蓮。俺は、ずっと疑問に思っていたことがあったんだ」


拓馬が冷静さを取り戻し、蓮に話掛ける。


それに便乗し、蓮も冷静になってきた。
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