現実アクションゲーム
「何だよ?」


「移動ブロックの後……女と再会したな」


「そうだけど?」


「あのとき何で、こっちに向かって歩いてきていたんだ……」


そう言えば……二葉は、こちらに向かって歩いてきていた。


こっちに来ても、移動ブロックしかない。


あのときは再会した嬉しさで、それどころではなかった。


どういうことだ……


「俺には、その女が敵にしか見えなかった」


「……」


「頼む、蓮。少しでいい。俺じゃなく、女を疑ってみてくれ」


その拓馬の言葉を期に、蓮は不本意ながらも試しに二葉を疑ってみた。


「……あれ?」


驚くほど、不思議な点が浮かび上がる。


まず、出会い……確か、二葉は渡りブロックの前にいた。


そもそも、これがおかしい。


蓮がこのゲームに送り込まれたとき、全員がトビラ付近にいた。


あの状況で、一人でトコトコと歩いてあんなところに行く女の子がいるだろうか。


いや……蓮はあのとき、かなり走ってようやく辿り着いた。


ガイコツに気づいたのも、蓮が一番だった。一番最初に辿り着くのは、蓮のはずだ。


直樹や守、渚たちと送り込まれてきたのなら、あそこにいるとまず死んでいる。ガイコツが来たからだ。


それに、ブロックが崩れたときの反応は、新鮮だった。


先に直樹たちが渡っているのなら、崩れることはわかっていたはずだ。


つまり、送り込まれたのは蓮たちと一緒。


それなのに、一人だけあんなに遠いところにいた。
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