現実アクションゲーム
「くそ……」


普通のゲームなら、ラスボスは初見では倒せない。


何度もチャレンジして、パターンを見つけて、プレイヤー自身も上手くなって、やっと倒せるものだ。


だが、何個もある命ではない。二葉を見ての通り、HPがゼロになれば終わってしまう。


そうこう考えているうちに、またしても拓馬とハーディンが激しく剣を交えた。


お互いの攻撃が終わったとき、拓馬のHPは残り5だった。対して、ハーディンはHP280。


ヤバイ、ヤバイ、ヤバイ!


拓馬も、殺されるわけにはいかない。拓馬が殺されてしまったら、クリアしてからはどうなるんだ。俺は、消えるだけ……


そのとき、蓮はさっきから考えていることに気づいた。


……またか。


こんな最終局面でも、人任せ。


俺と言えば、たった一回切りかかっただけで、あとは人任せ……拓馬の勝利を願うだけの存在。


今一番生きる価値が無いのは、俺だ。


「拓馬!」


蓮が叫ぶ。


「何だ!今、集中してる!話掛けるな!」


「違う!俺にやらせてくれ!」


蓮はそう言うと、復活草を拓馬に投げた。


「二葉に……飲ませてやってくれ」


「蓮、たったHP10でどうする気だ!」


「お前はたった5だろうが」


蓮は剣を構えると、ハーディンを睨んだ。


ハーディンも、蓮に向かって剣を構えた。


……策はある。一つだけ。


ただ、ノーダメージで28回も攻撃できるか……
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