現実アクションゲーム
「くそ……何で、こんなことに……」


ギュッと目を閉じ、涙を流す蓮。


普通の暮らしでいい。ダラダラした生活でも、いい。


頼むから、俺を帰してくれ……


「蓮君!」


その二葉の声で、ハッとなる蓮。


「何だよ!」


苛立ち、叫ぶ蓮。


「後ろ!」


泣きながら叫ぶ二葉の言葉に、バッと後ろを振り返る蓮。


「あ……」


絶望的だ。


すでにガイコツが人々を一掃していて、こちらに向かってきている。


一つ目のレンガに足をかけているところだった。


「あ……あぁ……あ」


恐怖で言葉が出ない。手足の震えが止まらない。歯がガチガチと音を立てて震えている。まるで、全身痙攣状態だ。


再び、前を見る蓮。


レンガが、遠い……こんな状態で、渡れるはずがない……


でも、戻れない……落ちる……死ぬ……


誰か……


誰か、助けて!


「くそ……」


しぶしぶ、レンガをいっぱいに使って助走の体勢を取る蓮。


涙で、視界がぼやけてほとんど見えない。


「蓮君……何してるの……」


二葉が、気力なく震えた声で言う。


「渡るんだよ。向こうに行かねぇと、ガイコツのヤローに殺されちまう」


蓮の声も、ガチガチに震えていた。


「無理だよ、あんな距離……」


「じゃあどうすんだよ!ここでガイコツに殺されるか?俺は、死にたくねぇ!ここに居たけりゃここに居ろ、俺は行く!」


「でも健二君の乗ったレンガのように、もし崩れたら……」


その二葉の言葉に、蓮はヒザから崩れてその場に座り込んだ。


「お前……それ、言うんじゃねぇよ!」
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