現実アクションゲーム
「さぁ、二葉」


蓮が手招きする。二葉はレンガいっぱいに助走をつけると、勢いよく跳んだ。


ダン!


着地と同時に両手をレンガにつける二葉。


渡れた……


「よし!」


思わず、蓮から声が漏れる。


正直、女の子が跳べる距離なのか不安だった。


でも渡れた……他人のことだが、嬉しい。


「やったよ、蓮君!」


二葉が嬉しそうに言う。その笑顔に、ドキッとする蓮。


「お、おぉ、よかったな」


顔を赤くして、二葉から目を反らす蓮。


あれ?何か、二葉の目が見れない……


「さて、問題はここからだな」


蓮が次のレンガを見て呟く。


健二が乗ったときのように、崩れる可能性もある。


だが、崩れると思って一個飛ばして次のレンガに渡っても、そのレンガが崩れるかもしれない。


もしかしたら、次からのレンガは全部崩れる可能性だってある……


落ちたら、深い闇。とても、勢いだけでは渡れない。


それに加えて恐怖による疲労がピークに達していて、立っているので精一杯だった。


そのとき、二葉が口を開く。


「私が、先に行く」


その言葉に、驚く蓮。


「え?だって、レンガ」


「わかってる。その先は言わないで。蓮君がいなかったら、私はさっき死んでたの」
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