現実アクションゲーム
「バカヤロー、無茶すんな」


「でも、乗ってみるしか方法は」


「あ、ちょっと待て」


蓮はポケットから携帯電話を取り出すと、次のレンガ目掛けて勢いよく投げつけた。


ガシャン!


携帯電話が当たったと同時に、次のレンガが崩れた。


「ひっ……」


小さな悲鳴を上げ恐怖する二葉。蓮も、驚く。


「……な?」


苦笑いで言う蓮。まさか成功するとは思わなかったが、本当に崩れてしまったことに驚いた。


「二葉、携帯……貸せ」


言われるがまま、蓮に携帯電話を差し出す二葉。


「……投げていいか?死ぬより、いいだろ?」


「う、うん」


二葉の返事を聞くと、蓮はその次のレンガ目掛けて勢いよく投げた。


カチャン!


携帯電話は、レンガに弾かれ深い闇へと落ちていった。


崩れない……あのレンガは、携帯電話が当たっても崩れない……


「あっちは、大丈夫だ。行こう」


「蓮君……頭、いいね」


「たまたまだよ」


少し照れる蓮。だが、そんなことを言っている場合ではない。


本当に崩れないのか……それが、心配だった。携帯電話が当たったくらいでは、崩れないレンガもあるかもしれない。


それに、一個目のレンガのときより距離がある分、当たる威力が弱かったのかもしれない。


だが、もしあのレンガも崩れてしまえば、今度こそ向こう岸に渡る術はない。


崩れないはずだ。


これを作った奴が渡らせる気があるのなら、崩れないはず……
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