現実アクションゲーム
「この先の山を登って行くと、つり橋が」


「ボケてんのかよ、もう聞いたよ。勝手に借りるよ」


さすがに苛立ちを感じた蓮は、お婆さんを避けて家の中へ入ろうとした。


そのときだった。


「……え?」


玄関から、中へ入れない。


まるで壁でもあるかのように、進めない。


「何だ、これ……」


ゾクッとする蓮。そのときだった。


「キャー!」


二葉の悲鳴が聞こえる。


慌てて二葉の元へ駆け寄る蓮。


「どうした!」


「蓮君、見て!」


二葉は泣きそうな顔をしながら、お婆さんの顔を指差した。


「どうしたんだよ?」


お婆さんの顔を見る蓮。特に、さっきと変わっていない。相変わらず、笑顔だ。


「……二葉?」


お婆さんから目を反らし、二葉を落ち着かせようとする蓮。


そのとき、蓮の心臓がドクンと音を立てた。


「……え?」


ゆっくりと、もう一度お婆さんの顔を見る蓮。


「あ……」


こいつ、瞬き……してねぇ……


「うわぁああ!」


思わず、尻餅をついて悲鳴を上げる蓮。


それでも微動だにせず、お婆さんはニコニコと笑顔を見せている。
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