現実アクションゲーム
「何なんだよ、お前!」


蓮が叫ぶ。その蓮の背後に隠れる二葉。


「この山を登って行くと」


「聞いたっつってんだろ!」


怒鳴り散らし、お婆さんの声を掻き消す蓮。


瞬きしていないことに気づくとなお更、声が不気味に聞こえた。


人間じゃねぇ……人間じゃねぇよ!


「この先の山を登って行くと、つり橋がある」


「うるせぇ!」


蓮は剣を抜くと、お婆さんの喉元につきつけた。


しかし、お婆さんはピクリともせず、同じ会話をし続けた。


「黙れ、黙れ、黙れ!」


ついに蓮はお婆さんの胸ぐらをつかみ上げると、剣をしまって拳をギュッと握った。


「ババアだろうと容赦しねぇ。それ以上同じことを言うと、顔面に鉄拳を喰らわす」


真剣な眼差しでお婆さんを睨む蓮。


しかし、お婆さんは、同じ笑顔のままだった。


気味が悪いどころじゃない……


「蓮君……もう行こう……」


二葉の声に、蓮はお婆さんの胸ぐらから手を離すと、家を背にして逃げるように走り出した。二葉も、それに続く。


5分程走ると、二人は足を止めた。


「ハァ、ハァ……」


息を整える二人。


「どうなってんだよ、あのババァ……」


その場に座り込む蓮。二葉も、その横に座った。
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