現実アクションゲーム
「何だよ?」


「あの太陽さ……ずっと、あの位置だね」


「え?」


二葉の言葉に、蓮は空を見上げた。確かに、ここに来たときから少しも動いていない。


「まぁ、ゲームの中なら不思議じゃねぇよ」


鼻で笑いながら蓮が言う。


どうも、本当にゲームの中みてぇだな……この状況なら、そう考えるのが、一番自然だ。


すると、さっきの婆さんは……そりゃ、そうか。ゲームの中の人間なら、同じことしか言えねぇな。


そのとき、前方に人影が見えた。


「!」


二人はビクッと反応すると、蓮が剣を抜いた。二葉も、慣れない剣を構える。


こちらに向かって、ゆっくりと歩いてくる人影。


「人だ……!」


蓮が剣を構えながら呟く。


近づいてくるにつれ、だんだんはっきりと見えてきた。


ヨロヨロと、左肩を右手で抑えながら歩いてくる。


二葉は剣を腰にしまうと、その人の元へ駆け寄った。


「おい、二葉!」


蓮も、二葉の後に続いた。その人は30代くらいの男性で、茶色の短髪だ。


「どうしたんですか?」


男の元へ到着すると、二葉が心配そうに聞く。


その瞬間、男はその場にバタリと倒れ込んだ。


「おい、お前!」


慌てて蓮が支える。男は虫の息で言った。


「引き返せ……お前ら……」


男はそう言うと、ガクッとして目を閉じた。


頭上のHPの表示が、ゼロになっている。体に傷はないが、死んでいる。


「何なんだよ、一体……」
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