現実アクションゲーム
「よーしみんな、落ち着いて行こう!下を見るな!」


直樹が、空元気を振舞う。


一歩一歩前進するが、その度に訪れる恐怖。足場が狭すぎる……耐えられない。


今にも、気が狂いそうだ……


頂上の半分くらいに辿り着いたとき、ビルの10階程度の高さだった。


もう、落ちたら助からないだろう。


めまいがしそうだ……


二葉のHPは、後35。おそらく、このペースなら間に合いそうだ。


あとは、この恐怖にバランスを崩さず登りきれるかどうか……


そのとき、渚が立ち止まった。


「……お?おい、渚」


不思議に思い、直樹が声を掛ける。


渚の様子に、蓮、二葉、守も立ち止まる。


「もう、限界よ……」


ガクガクと震えて言う渚。


発狂しそうな表情をしている。


「渚ちゃん。下を見ないで、落ち着いて」


二葉が、笑顔で落ち着かせる。


「ありがとう、二葉ちゃん。でも、私……もう……無理……」


泣きじゃくる渚。


その状況に、どうしていいかわからない一同。


「おい、渚……ここに居たら、いずれ」


「わかってるわよ!」


直樹の言葉をかき消し、急に叫ぶ渚。


「動けないのよ!足が、言うことを聞かないの!」


泣き叫び、ガクガクと激しい痙攣のように震える渚。


そのときだった。
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