現実アクションゲーム
「元々、私のせいでこうなったんだもん」


「おい、ちょっと待てよ……」


「止めるなよ、蓮。女が自分から死ぬって言ってんだ。これで一人減るだろうが」


「直樹、お前!」


「蓮君!……私だって、直樹君は悪いと思う。蓮君に生きていてほしいと思う」


「だったら」


「でも!だからって殺すの?それっておかしくない?直樹君みたいな考え方の人は、現実の世界で死刑になるの?」


「それは……」


「ならないでしょ。つまり、確かに考え方はねじ曲がってるかもしれないけど……必ず蓮君が正義で、直樹君が悪だとは限らないじゃない」


「二葉……」


「だってそうでしょ?今から殺し合いして、蓮君が勝ったとする。じゃあ、どうなるの?直樹君を殺した蓮君はどうなるの?立派な殺人だよ。それって、とっても重い罪じゃないのかな?」


二葉の言葉を黙って聞く二人。


「私、多分蓮君に興味があるのかもしれないな。蓮君に、人殺しとかそういうこと、してほしくないの……」


二葉にそう言われて、嫌な気はしなかった。


喜んでいる場合ではないが、正直嬉しかった。


「とりあえず、私が死んでみる。一人死ねば、もしかしたら脱出の手段が見つかるかもしれない」


そう言って、腰の剣をゆっくりと抜く二葉。


「お、おい、待て……待てよ、二葉!」


その蓮の声を無視して、喉元に剣先を近づける二葉。
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