現実アクションゲーム
心臓がバクバクする。


一歩進む度に、震えがどんどん激しくなる。


そろそろ、半分くらいは進んだだろうか。


蘇る記憶。渡りブロックのように足場が崩れれば、手すりがあると言ってもバランスを崩して落ちる可能性だってある……


「ねぇ、蓮君」


そのとき、背後にいる二葉が突然話しかけてくる。


「何だよ?」


足は止めず、蓮が答える。


「あのとき言ったこと……本当?」


「あのときって?」


「好きだって言ってくれたじゃん」


心臓がドクンと鳴る蓮。ただでさえ吊り橋の緊張で息が苦しいのに……


「お前、今そんなこと言ってる場合じゃねぇだろ。状況考えろよ」


「お願い。何か話したいの」


「バカヤロー、余計な体力使うだけだろうが」


「お願い」


その言葉に、振り返る蓮。


二葉は唇を紫色に染めながらガクガクしていて、今にも倒れそうだった。


「えっ、お前……」


どうしたんだよ?そう聞こうとしたが、言うのをやめた。


蓮は再び前を向くと、ゆっくり進みながら言った。


「あぁ。本当だ」


思えば、渡りブロックに地雷、エンドレス……ここまで、そうとう精神力と体力を使ってきた。


そしてまたここで吊り橋、そしてこの先には城……誰だって、限界が来る。


吊り橋の恐怖を紛らわせたいのは、蓮も同じだった。


今は喋らずに体力を温存するより、むしろ気を紛らわせた方がいいかもしれない。


そのときだった。
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