現実アクションゲーム
「くそっ!」


涙が溢れてきた。なんて残酷なんだよ……!


「くそぉ!何でだよ!」


とてつもなく悔しかった。


ホントに死ぬのかよ……俺……


空中でジタバタする蓮。


しかし、動くことなどできない。


針は、もう目前にせまっていた。


「くそっ!くそっ!」


ギュッと目を瞑る蓮。気が狂いそうだ。


「うわぁああ!」


バシャン!


大きな音と共に、急に息ができなくなる蓮。


だが、刺さるような痛みはない。


視界がぼやけて、なんだが耳が遠くなった。


この感覚は、経験したことがある。頭が混乱した。


「!」


針になんか刺さっていない。


ここは、水の中だ……!


急いで水上に浮上しようとする蓮。


混乱していて、泳ぎにくい。


「ブハッ!」


なんとか水上に浮かんだ蓮。


震える足で泳ぎながら、辺りをキョロキョロと確認する。


「ここは……」


広く、透き通るようにキレイな湖だ。半径1キロはあるのだろうか。


遠くの方に、岸がある。


「……」


ゆっくりと、岸に向かって泳ぎ始める蓮。水泳はかなり得意な方だ。疲労が心配だが、岸まで泳ぐことくらい、容易かった。


それにしても、さっき見た針はなんだったんだ……俺の錯覚か?それとも、ゲームが見せた幻影か?


おちょくりやがって……
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