現実アクションゲーム
「……ん?」


その男は無表情のまま、動揺することなく真っ直ぐ前を見ていた。


黒の長髪で、年は20代といったところだ。片目に眼帯し、ボロボロの灰色の服を着ている。


一見、ホームレスのようにも見えるが、瞳は鋭く、威圧感がある。


蓮は興味本位で、その眼帯の男にゆっくりと近づいた。


「……」


蓮が無言で傍に寄ると、気配を感じて眼帯の男がこちらを見た。


「何の用だ」


眼帯の男がボソッと言う。


「お前……名前は?」


蓮はとりあえずそう聞いた。


「人に質問するときは、自分から答えろ」


その眼帯の言葉に、蓮は威嚇するように男の胸ぐらをつかんだ。


「何だと?エラそうに」


その瞬間、眼帯の男が微動だにせず蓮を睨む。


鋭く、まるで氷のように冷たい目だった。


その瞳に、背筋が凍りそうになる蓮。


何だ、こいつ……


そのとき、そこに一人のモヒカンの男が寄ってきた。


「何だよ、ケンカか?あ?」


ニヤニヤと言うモヒカン男。健二も、蓮の元に駆け寄ってきた。


「蓮、どうしたんだよ?」


健二が聞く。


「ナレナレしく名前を呼ぶんじゃねぇよ」


眼帯の男の胸ぐらから手を離すと、蓮は健二を睨んで言った。


「何だよこいつ、ホームレスかよ?」


舌をベロっと出すと、モヒカンの男が眼帯の男をなめ回すように見る。
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