現実アクションゲーム
「……」


また、これか。わかっていても、なかなか飛べない。


CGの分際で、いっちょ前にドキドキしやがって……


自分に腹が立ってきた。歯をくいしばって、斜め前方のブロックに跳ぶ蓮。


タン!


乗れた。内心ホッとする蓮。


その先はしばらく一本道だ。


作者側がクリアさせる気があるのなら、しばらくトラップはないはずだ。


だが、それもしばらくするとまたしても来てしまった。


右と左、分かれ道だ。


ブロックが二つあり、どちらにも跳べる距離だ。


困ったことに、もうタバコはない。


どっちだ……


後ろを見ると、拓馬が暇そうにあくびをしていた。


腹いせに、マグマにでも落としてやりたい気分だ……


いや、腕力では敵わないんだった。


ゴソゴソとポケットをまさぐる蓮。


しかし、投げるものなど何一つない。


剣なら投げられるが、まだボスがいるはずだ。これを投げるわけにはいかない。


「おい、拓馬!何か、投げるモノはないか!」


「ない」


「くっ……」


しらっとした態度に腹が立ったが、今はそんな場合ではない。


直感で跳ぶしかない。心臓の音がどんどん大きくなっていく。


「くそ……」


跳べない。跳べるわけがない。50パーセントで死ぬ。
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