SHINE and STAR
────


……で。

「…………」

シンディ「ごめんごめん。でもでも、ちゃんと治ったんだからいーじゃないのっ」

「黙れ小娘。こんな俺にだってプライドくらいあるんだ。それを容赦なくズタズタに引き裂きやがって」

たしかに、焼け焦げた髪は『回復』の魔法のおかげで元通りだ。
問題は────シンディが俺より先に魔法の使用に成功、俺の髪をチリチリにすることに成功したコト。
なんでだ。なんでシンディに出来て俺に出来ないのか。

……カードに描かれた炎は、シンディの精神力に共鳴してカタチを具現化していた。
通常、魔法は使用した精神力に反映して具現する度合が変わる。
つまり、描かれた“絵”にどれだけ忠実に近付けるか、ということ。
もちろん、十分な精神力を注げば“絵”そのものを具現できるわけだ。
逆に、不十分な精神力ならば中途半端な結果になってしまう。
例えばさっきの炎の場合、十分な精神力を100とすると、使用した精神力が10のときには絵の10分の1の完成度になる。
……って、この小さなカードに描かれた絵なんて元から小さいんだけど。
だから、忠実に具現はしない場合も。────それ以上を求めるんだ。
魔法に限界はない。
そもそも器(魔力)とはカタチのない喩えなわけだから、限界を推し量ることなんてできやしない。
ただ単に、魔法には魔力が必要不可欠なだけ。
器に溢れんばかりの精神力を注いでも、溢れていることさえ定かじゃない。
────いや。
単純に、誰も限界を見ていないだけなのかもしれない。

「……じゃなくて、シンディはどうやって魔法を使ったかってコトだっての」

シンディ「まさか使い方を知らなーいなんて言わないよねぇ……? うふ。でも正直に言えば或いは……どうする、どうするのよ~。続く」

口元に指を当て、魔女は不適に笑うのであった。あー、すごくウザいぞー。

< 10 / 120 >

この作品をシェア

pagetop