SHINE and STAR
そこにいたのは少年と魔物。
言い換えれば獲物と捕食者。
世の理、またの名を“平常”が健在であるのなら、二者の立場は揺るがぬまま獲物は消える。
だが“平常”であるのは立場のみ。
獲物にとって捕食者は未知、また捕食者は単に未知。断じて“平常”ではない。

ならば一つ。
反例が生じても何ら不思議な事ではないのだと、赤い影は言った。

アレイド「ざけんなバケモン。そこいらで惨めに死ね」

横殴りの暴風でも過ぎたか。
“穴”は側面から内側に反るようにして歪み出し、強すぎる風は魔物ごと塵と同じくして吹き飛ばす────。

“、~、!!”

魔物は苦悶ともとれる嗚咽を漏らし、突如到来した赤い影は風切り音を唸らせた。

赤い影とは比喩だ。そこに現れた新参者は言葉を話すのだから人間である。
影、と称すのはその人間があまりにも高速で霞んでいたから。
暴風とは影。
影とは新参者。
新参者とは……紅を羽織るアレイドである。

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