SHINE and STAR
フィル「あの、姫様?」

シルク「……ん、ぁ、え?」

フィル「気分が優れないようですが……あまり無理をなさらずに。何かあれば私に」

シルク「あ、いえっ、」

別に問題はないのだ。今は。
だから、だから、普通にしないと。

シルク「大丈夫です、から」

フィル「…………そうですか」

納得したような口振りだけど、表情はいかにも引っ掛かりを覚えた顔だった。
……腑甲斐無い。
何もしなかったから迷惑をかけて、何もしてないのに心配をかけてしまってる。

アレイド「よし、んじゃ人目につく前にカッコよく消え去るとするかな」

「え? なんで?」

アレイド「いいか、ヒーローの正体ってのはヒミツなんだ。だからむやみに目立っちゃマズいし、今日のコトは誰にも言っちゃダメだかんなー?」

「そっかぁ。うん分かった!」

幸い、ここは町の外れ。喧騒も遠い。魔物に気付いたのは少年ただ一人で騒ぎになるに至らない。

そうだ、これはただのヒーローショウだったのだ。
心に残るのは正義の味方の活躍だけ。悪役の存在はやがて薄れてそのうち消えるのだ。

ならいいじゃないか。

アレイド「じゃあな、またどこかで会おうぜ!」

元気に手を振り、別れてしまおう。

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