SHINE and STAR
シルク「──、──」

こくりこくり。
緊急避難をば、何でもいいから肯定して首を縦に振る。身動きできない私の手段はアレイドを納得させる他ないのである。

アレイド「ホントに?」

シルク「──、──」

こくりこくり。
思いの外疑り深いアレイドに私は心肺停止寸前。病名『心臓動きすぎ病』につき危険信号点灯。
真偽の程はこの際無視して下さい。

アレイド「……ん、そっか、なら俺は安心。シルクが変に気を使ってるようじゃ俺が息苦しい。んじゃあ、」

どうにか納得してくれたようで、アレイドは至近距離の顔を離してくれた。
これで私の命は……いやいや、平静は保たれたわけである。

けれどすぐほらほら、とアレイドが促すまま手を振ってきて、また鼓動は加速を再開した。

シルク「えと、……ぁ。それでは、あの。あ、ああアレイ、ド、」

アレイド「うぇ、どぎまぎしすぎ。あのさ、悪いコトじゃねぇんだ、馴れ馴れしくできるっつーのは親しくできるってコトと同じだろ?」

シルク「……ですが」

ダメみたいだった。
改めて接するのもおかしな話で、急き立てる鼓動とは無関係に馴れ馴れしくするのはどうも無理らしい。……少なくとも、今の私には。

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