SHINE and STAR
“以前”はもっと違っていて、“以前”の私は変わらずにいられた。
そう、つまり私は変わってしまったらしい。
“以前”の私なら馴れ馴れしく出来ていたであろうに、けれど今の私には平常に接することが出来ない。

有り体に言えば、距離を置いてしまっているということ。

アレイド「仲良くしたいなら頑張ってみてもいいだろ? ……それに、」

しかし、叱るように諭すように、アレイドは優しく微笑んで言ってくれた。

アレイド「それに俺は、もっとシルクに近づきてぇな」

シルク「────」

それは、そう。
私にも願ってもないことなのである。

忘れるはずのない思い出はいつも“以前”に────アレイドのところにあるから、

また近づけるのなら、また求めてもいいのなら、また触れていいのなら、

私はまた、

アレイド「な、シルク」

私はまた、優しすぎる笑顔を浮かべる『太陽』の傍にいられるだろうか。


────なにも、無理をするような難しい話じゃないんだ。
気づくのが遅いや。
アレイドの言う望みは私の望みだし、願いだし、欲求である。お互いに共通の考えなら、無心で受け入れれば別に何も問題はない。
利を拒んで害を得るなんて徒労。

じゃあ、力を抜こう。

シルク「────うん」

強張る身体に上手く血を巡らせて全身がぐにゃぐにゃに柔らかくなったと錯覚する。
すると不思議に全身の力が抜けて、身体も気持ちも楽になる。
私を見つめるアレイドの目線に私の目線がはち合わせるようにぶつかって、私の口は自然に動いてくれる。


シルク「アレイド、これから────これからも、よろしくね」


言えた。
それだけで嬉しくて、力の抜けた顔の表情筋はゆるゆると緩みっぱなしになってしまう。
それもまた嬉しくて、何だか二重に嬉しくなった。

アレイド「────おう。これからもずっとよろしくだ」

アレイドも満足そうに笑ってくれた。
これでいい。こうでなきゃ。

これで私はまた、『太陽』に近づけたのである。

アレイド「おやすみ、シルク」

シルク「うん。おやすみ、アレイド」

ああ────
今日はゆっくり眠れそうだ。

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