SHINE and STAR
アレイド「、……、っ。」

声はノイズに掻き消されるまでもなく、音にさえならない。
肩は震え、膝は笑い、歯は上手く噛み合わない。
彼にとってのこの静寂は、恐怖といえば恐怖であり、同時に喩えようのない哀しみであったかもしれない。

「───────」

一人の影が彼へと向いたような気がした。
一人の影はただの人形のような気がした。
涙が出そうな気がした。
叫びたいような気がした。
壊れてしまいそうな気がした。
壊してしまいそうな気がした。

全て絵空事だったらよかったのに。
全て夢だったらよかったのに。
全て────だったらよかったのに。

────彼の内で何度も、幾度も思いが弾けた。

アレイド「────ぅぁ、ぁぁああっ────!!」

人形のような影から液体が溢れてきたとき、彼の眼は限界を訴えた。
刺激を受けた脳の命令は“逃げろ”というただの現実逃避。

夢中で、取り巻く虚無に侵され続け────ぬかるんだ大地を強く踏みしめ走り出した。
前は見えていない。眼には虚無しか映らない。
音は聞こえない。ノイズしか聞こえない。

アレイド「な、なんっ、何で……何で何で、何で何で何で────!」


ナンデ、オヤジガカアサンヲコロシテルンダ────?

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