SHINE and STAR
シンディ「ぁ、アレイド……助けて……」

最悪なことに、異形の姿勢はシンディに襲いかかろうとしていた。
いつもは強気なシンディ。だが今は、体を震わせて助けを求めている。
異形はそれだけ恐怖の象徴なのだと証明されてしまった。

幸い無傷なシンディだが、

“────”

異形が、ぐるりとこちらを向いた。

来る。
襲いかかってくる。
きっと殺される。
逃げられない。

初めて見たヤツなのに直感した。否定する理由は、残念ながら見つからない。

アレイド「────っ」

異形は本当に来た。
単調な動きで、しかも動作の鈍いものだったが、足のすくんだ俺を襲うには十分過ぎる程。

足、らしい四本がぬかるんだ土を駆ける。滑りもせずしっかりと。そして、後方の二本が強く地を蹴り、本体を宙へと跳躍させる。前方の二本は牙を向いたように俺へ喰らい付く────。

……冷静に観察するほど俺はイっちまったのか。
避けることを全く考えず、回避行動という選択肢はない。
本当にイカれちまった。
眼の前に牙が墜ちてくるまで、明確なはずの“死”を受け入れていなかったのだから。抗うことさえも忘れていたのだから。

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