SHINE and STAR
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そんな会話から、突如アレイドはこの城で一夜を過ごすことになった。お父様の独断、有無を言わせず、当事者の是非に影響されず、だけど。

その後、お父様は飽きずに更なる質問をアレイドに連射したのだけど、さすがに見兼ねたアミティが全て華麗に弾いたのだった。
今日のところはこれで幕引き。不足分はまた明日に、というわけで解散となった次第である。

アミティ「色々とありましたね……今夜はゆっくりとお休み下さい、姫様」

そのアミティは、現在私の横にいる。
……あ、勘違いしないで下さい。横、と言ってもベッドの外です。別に一人じゃ眠れない私の為に一緒に寝てくれてるとか、そういった小恥ずかしい事情はありません。

アミティは兵士でありながらも私の身の回りの世話を承り、今もこうして就寝の準備まで施してくれた。
振る舞いだけは、兵士と言うより侍女さんに近いかもしれない。

シルク「はい。おやすみなさい」

私は少しも変わりない、いつも通りの挨拶をし、アミティもまたいつも通り微笑んで部屋を────

シルク「あの、」

アミティ「は、はい?」

出て行かずに足を止めた。
何故だか、今日はいつも通りの流れに乗れなかった。
アミティは驚きで動揺しているのがよく分かる。
……私こそ驚きだ。自分で言うのもどうかと思うけど、いつも通りというのは慣習の域を越えた不変行動だったのだから。

アミティ「……ど、どうかしましたか?」

アミティは目を丸くして、何度もまばたきしながら私の言葉を待っていた。
……言葉……?
さて、私は何を言おうとしたのだろうか。何か、訊かなければいけない事でもあったのだろうか。
────質問なんて、何年もしてないのに。

シルク「いえ……何でも、ありません」

アミティ「は、はぁ……そうですか……では、失礼します」

アミティはさらに不可解そうに首を傾げた。ただ、はた迷惑な私の発言にも関わらずアミティの顔は柔らかだった。
……笑って、いたのかもしれない。

扉は静かに閉まり、部屋は灯りを落として黙り込む。
夜はまだ浅いのだけど、私はいとも簡単に微睡みの中へ沈んでいくのだった。

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