SHINE and STAR
───────


一人で、寂しかった。

周りにはたくさんの人たちが楽しそうに話をし、他愛のないことで喧嘩を始めたり、追いかけっこをしていたり。
それぞれの表情がよく目に映り、それぞれの笑い声がそれはよく耳に響いた。羨ましさからだろう、私は無意識に反応しているんだ。

“シルク様、シルク様”

だからといって、私の周囲に人がいない訳ではない。

……なんで、寂しいのかな。

“シルク様は何がしたい?”

私は……

“ダメだよ、シルク様は────”

じゃあ……

“それは危ないよ。怪我したら大変だし。だってシルク様は────”

消えそうな声で発した言葉。返答はいつも同じ。
みんな、私と距離をおいて一人にした。でもみんなは気づいていない。当たり前だ、なんて思っているのかもしれない。
みんな、私に近寄ってきてくれる。その度に、私のココロを突き放していく。
みんな、私に気を遣ってくれる。その度に、私のココロは傷痕を見つけた。


“だってシルク様は────『お姫様』なんでしょ?”


ぐさり、と突き刺さる。
私にとって、その言葉は凶器じみている。その凶器は、私を一人暗闇に取り残す。
みんな笑顔なのに、私は泣きそうになる。そんな様子にみんな心配してくれたのに、私は大粒の涙を落とす。
間違っていない。事実なのだから、やっぱり当たり前なんだ。

そう、だから。
私は独りだった。

“お姫様か”
みんなとは違う人間として、友達の輪には入れてくれない。元から友達になんてなれないのだと、勝手な了解をさせられる。普通ではないのだから、と異常者同等の目線。
……それはお姫様ならば当然なのかもしれない。
でも、私は嫌だ。『お姫様扱い』なんて望んでない。ただみんなと同じように、普通に話して、笑い合って、そして友達になりたいだけ。
それだけ、それだけなのに。

────たまらなくなって、みんなと離れることにした。いや、逃げた。無意識の暴力にはもう耐えきれないから。

その先は……誰もいない寂しい場所。

そこには私と同じ、ひとりぼっちのベンチが静かに待っていた。まるで友を呼ぶように。
親近感からだろうか、それとも呼ぶ声に誘われたからだろうか、私は自然とベンチの端にもたれた。
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