SHINE and STAR
二人の謎の言動に首を傾げつつ、促されるまま所定の席に座る。
すとん、ぴたり。
……おかしいな。
その即座、スイッチを切ったように私の思考は再度凍結してしまうのだった。

スレッド「アレイド、これが紹介の遅れた最後の一人、私の唯一無二の娘、シルクだ。見ての通り口数が少なく静かすぎる娘であるが、仲良くしてやってくれ。ちなみに霊感はない」

アレイド「そうか。なんとなく残念だったりする。……んまぁ、とりあえずよろしく」

アレイドががっかりする。
アレイドが私を見る。
アレイドが優しく笑う。

シルク「────」

スレッド「……むぅ、先程からどうしたのだシルク。まだ寝惚けているのか?」

くるくる。
目が回る回る。
徐々に復旧する思考が告げる限り、私の座席の目の前にはアレイド、向かい側にはアレイド、平行線上にはアレイドがいる事だけは理解できる。
……おかしいな。
ただそれだけで気が動転してまう私がいる。

アレイド「ん? だって口数少ないんだろ? これが平常じゃないのか?」

スレッド「いや……応答が出来ぬ程に口を閉ざす訳ではないのだが。おーい、目を覚まさんかー」

そんなコト言われても難しいのですお父様。
今の私は心臓がオーバーヒートして壊れる寸前なのです。


アレイド「シルク」


なのに、今度は心臓が止まりそうだった。ほら、全力疾走してるのに急ブレーキしちゃう感じ。でも、苦しさの中に大きな嬉しさを感じ取れる不思議な気持ち。
……もう一つ、おかしいな。
この光景は、この感覚は、つい先程も見て感じていた気がするのだ。

────その既知感が何なのかを理解するには、そう時間は掛らなかったのだけど。

スレッド「な……」

コットン「あ……ら」

フィル「む、むぅ」

そしてさらに、既知感を覚える皆の驚き顔。今度も私の顔をまじまじと観察して、同じく、

スレッド「今、笑った、のか?」

と、よく分からないコトを言い出すのだった。

< 61 / 120 >

この作品をシェア

pagetop