SHINE and STAR
アミティ「や、やはり気のせいではありませんでした! 姫様が……姫様が“笑えるようになった”のですよ!」

スレッド「そうか、そうかシルク……漸く以前に戻りつつあるのだな……!」

感動の波が押し寄せてくるのを痛いくらい身体に感じる、いや、感じてしまう。
おんおん泣きじゃくるお父様と慰めるお母様のセットなど、特に目に余ってある意味痛い。

……まぁ。私には感動の意味が分からないけど、とりあえず喜んでくれてる事だけは汲み取れた。

アレイド「あー……いいかな。どーしても空気が読めないんだが」

スレッド「あ、ああ、すまん……娘の笑顔を見たのは十年来だったものでな。……それは同時に、私たち両親の恥ずべき最大の汚点でもあるのだが」

喜悦の笑顔にも自潮の笑みを含みつつ、お父様は低い声で唸った。
……それがどんなに重い言葉かは、この時の私はまだ知り得ない。

スレッド「……さぁ、それはともかくだ。そろそろ昨日の続きを聞かせてくれ!」

その重さ故か、お父様は避けるように誤魔化した。
……なら、私の事であろう話はここで終わり。追求する声もなく、また次の話題へ流れるだけだ。

アレイド「ん、分かった……って言っても魔法は一通り説明しちまったし────そんじゃ、『魔物』の話をしようか」

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