SHINE and STAR
シンジラレナイ。あれだけ滅茶苦茶なコトをしていたはずなのに、三人はあっという間に成功へ辿り着いてしまった。

シルク「あー……うぅ」

となると落ちこぼれが一人浮上してくるのであって、よくよく思考を巡らせても私しか存在しないのであって。

スレッド「ふはははは! これにて我は魔法使いへと生まれ変わったのだ!」

一度コツを掴めばたわいもない事なのか、成り立ての魔法使いは未達成の劣等生を傍目に魔法を連発する。
お父様を初めとしてみんな一様に、だ。恐ろしや。

シルク「え、えいっ」

私も魔法使いに生まれ変わりたい……!
しかし周りに気圧されているのか、私だけどうしても成功しないのだった。
後は何度も何度も繰り返す他なく────

アレイド「そんなに慌てなくても大丈夫だって」

シルク「わ……ゎ」

唐突にどきりとさせられた。
声の方に振り返ると、すぐ隣にはいきなりアレイドがいたのだ。

アレイド「あっちの修得力はおかしいんだ。フツーはもっと時間掛って当然なのに。……まさかまさか、実は本物の魔法使いだった、とか言うんじゃねぇの?」

冗談っぽく笑って本当に冗談を言うアレイドは、やっぱり相変わらずの笑顔だった。

シルク「……そうかも、しれませんね」

それに応えたかったのだろう。私の口は自然と動いていた。
やはりあの笑顔には心臓を揺さぶられてしまうのだけど、何故か妙な安心感も覚えてしまう。
……今の私は、少しおかしいのかもしれない。

アレイド「ってコトぁサラブレッドのシルクにはまだ才能が眠ってるってワケだ。……ふむ。じゃあ、シルクは別の色を試してみるってのも手だな」

そう言って渡されたのは赤色ではなく青色のカード。赤とはなんとなく対になるイメージの色だ。

『青』の魔法と言えば水。
広がる海、流れる川、滴る水玉、霧散する水蒸気、凍結する氷。
……確かに、赤色よりは身近である分、イメージを練りやすいかもしれない。

シルク「サラブレッドって……私は馬ですか。でも、とにかく挑戦してみます」

アレイド「おう、血統と毛並の違いを見せてやれ!」

……だから馬ではないのだけど。
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